映画評 『オリバー・ツイスト』

総合評価
★★★★☆

いや~、これ・・・いいね!
見て分かるとおり、イギリスの文豪チャールズ・ディケンズの不朽の名作『Oliver Twist』を映画化したものなんすよ。
恥ずかしながら、原作は読んだことが無いので内容は知らなかったんですけどね、本屋へ行くと必ずこの本を目にするので毎回気になってはいたんです。
だからこの映画を見てようやく、あぁ~こういう内容だったんだな・・・、ってわかりました。

内容はね、フツーに面白い!!
よっぽどレベルの高いものを求めない人なら皆が皆楽しめると思うよ。
オリバー少年の成長を描いた、至って単純なストーリーなんだけど飽きないね、これは。
なんといっても映像がキレイ!
舞台が19世紀の激動のロンドンなんだけれどもね、建物とか景色とか雰囲気が物凄くイギリスっぽい。
イギリス行ったことないんだけどねーw
あぁ、あの感じ好きだなぁ。
真夜中の霧に包まれたロンドン橋でナンシーとブラウンロー氏が会うシーンも好き(映像が)。
いかにもロンドン!!的な要素が満載なわけで・・・そういった意味では、イギリス好きな人にはもってこいの映画でしょう。
僕ぐらいのイギリス好きになってくると、ストーリーそっちのけで映像だけでも何回も見れますww

ラストシーンが結構泣ける・・・
実際には泣かなかったけどねー。わはは。 ←相手にしないで下さいw
なんか『Always 三丁目の夕日』のラストシーンに似てるし、結果は違えど、実際どちらも似たような感動に襲われる。

オリバーはなんで最後にフェイギンに会おうとして、さらにフェイギンのもとを後にしながら涙を流したんだろう?
だって、フェイギンはオリバーを悪党に導き、殺そうともした極悪な野郎だぜ?
まぁ少なからずオリバーを飢えから救ったが・・・
はっ!!
まさかオリバー、その恩をずっと忘れずにいて、そのお礼をしに行ったのか?
なんていい奴なんだ、オリバー!!泣
ハイ、そうなんですよ、このオリバー、とっても純粋無垢でかわいい奴なんですよ
甘いルックスでブラウンロー紳士からも好かれ、養子に。
貧しかった救貧院の頃には想像もできなかった贅沢な暮らしを。
くぅ~、うらやましい奴だぜ。
顔が良かったからいい方向へ話が進んだものも、もしオリバーがゲソだったら・・・
ね?恐ろしいよね?(笑

でも、最終的にオリバーはブラウンロー氏の養子になったが、果たしてそれがオリバーにとっての幸せだったのか?
馬車に揺られてフェイギンのもとを去って行くオリバーの表情を見るとなんだか複雑そうに見える。
救貧院の頃のオリバーは孤独だけが友達だった。
そこへ現われた、ドジャーをはじめとする窃盗団の少年達。
彼らは犯罪に手を染めてはいたもののオリバーにとっては初めての友達・仲間と呼べる存在だった。
フェイギンのもとでの生活は少なからず楽しいものだったに違いない。
そう考えると、ブラウンロー紳士の養子になったオリバーは確かに裕福な暮らしを送れるものの、大切な仲間達を失ってしまったし、初めて自分に親切してくれたフェイギンをも失ってしまった。
これはやはり大きいだろう。
『Always 三丁目の夕日』でもそうだが、金と権力だけが幸福になれる要素ではない、むしろ場合によっては金と権力が幸福を奪ってしまうこともありうるのだと考えさせられる。
あ、誤解しないために言っとくけど、ブラウンローさんは、三丁目の夕日に出てくるあの嫌な父親と違って、フツーにいい人ですよ。

まぁ、そんなこんなで、いろいろ考えさせられます。
若いって素晴らしい、って思えるし。ちょっと勇気と元気も与えられた感じかな。

キレイな映像も含めて、ホントは満点つけたかったけど、後々出てくるであろう素晴らしい映画に期待して今回は満点おあずけ。


あ、そういえば
ビルが河に溺れて熱出したとき、ナンシーがワインに毒かなんかを入れてビルに飲ませてたから、いつビル死ぬんだろー、って見てたけど結局最後までビル死ななかったのよ。
あれは毒じゃなかったのかな?あの時の状況と作品全体を通してのナンシーのポジションから考えれば、あれは確かに毒だと思うんだけどな。
分かる人がいたら教えてくださいな。
それでは。

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オリバー・ツイストOliver Twist)』
2005年作品
上映時間128分
監督:ロマン・ポランスキー
脚本:ロナルド・ハーウッド

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