映画評 『チェンジリング』

総合評価
★★★★☆

チェンジリングとは、もともとヨーロッパの民話で自分の子が醜い妖精の子に取り替えられてしまうことから来た言葉だそうで・・・。

この作品は結構重たいのね。
精神病院のシーンとか子どもたちが斧で殺されるシーンとか絞首刑のシーンだとか・・・
見てて疲れる(汗

この映画で目を見張るのはやはりクリスティン演じるアンジェリーナ・ジョリーの演技力。
いろんな表情ができるのね、ついつい見とれてしまったわい。

結局、最後の最後までウォルター少年は見つからなかったけど、生きている可能性も十分あるというだけでクリスティンは随分と救われたことだろう。

それにしても奇妙だよね、自分の息子がいつの間にか知らない奴に替わってたなんて。
現実にそんなことがあったらもう恐ろしくて恐ろしくて・・・、
とさっきまで思ってました。
今はそう思ってないのかって?
ハイ、そうです。だってさっき知っちゃったんですもん。これが・・・
実話だったっていうことを!!

もうビックリですわ~。
よくできたフィクションだな~、とは思ってましたが現実にあった話だったなんてどこの誰が想像できましょうか、いいや、誰も想像できない(反語表現)。
だってさ、二つの事件がこんなうまいタイミングで起こるか、普通?
それぞれの事件一つをとっても難解なのに、二つが絡み合ってるって・・・(汗
しかもこの作品の登場人物の名前がすべて実名というw
ウォルターになり替わっていたアーサー少年、映画スターに会いたかったという理由だけでロサンゼルスに来たというがどうも腑に落ちなかったんですが、どうやら「継母との折り合いがつかなく遠くへ行きたかった」というのもその理由の一つらしいです。
なるほどねぇ~。
因みに、大量誘拐殺人犯のゴードン・ノースコット。その母親のサラもこの事件に協力しており、なんと5人の殺害に関与していたそうで・・・。

詳細はウィキに載ってます
ゴードン・ノースコット事件

さて、実話だったということの感動はひとまず置いといて、内容を少し。

この作品を通して感じたのは、権力を持っている奴らに抗う人々の弱さ。
クリスティンは息子の捜索を何度も警察に呼びかけたが、警察は面倒な事件とみなし全く相手にしてくれない。
精神病院の先生も警察とグルになってクリスティンを貶めようとする。

いつの時代でも、こういう頭でっかちの無能な奴らが人々を苦しめる。
ろくでもない連中がいったん権力を手にすると、必ずそれを濫用する。

でも、それをちゃんと理解し、助けの手を差し伸べてくれる味方もいるということを忘れてはいけない。
この作品の中では、牧師さんや歯医者、学校の先生や検事などがクリスティンの味方として登場する。

そして、権力に抗う者は弱いが、彼らが大勢集まれば、その権力に打ち勝つことができるというのも事実だ。
牧師さんたちの呼びかけで集まった市民がデモを巻き起こし、ついに裁判で警察に勝訴。
このシーンは実に感動的だった。

現実の世にもこのようなことはあり得て、最近起こったエジプト政権の崩壊がいい例だろう。
本来弱い立場にある市民が、Facebookなどでの呼びかけを通じて一致団結し、ついには一つの巨大権力(政権)を倒した。

これらのことを踏まえると、もう一度別の観点からこの作品を楽しむことができるかも。

この作品が事実に基づいている、ということを知る前は★3つが妥当だと思っていたが(作品を見た後に残る印象や衝撃のようなものが小さかったから)、実話だと知った今、印象も衝撃もデカすぎです(笑
よって★4つあげちゃいます(★5つは、そう簡単にはあげません!)
それでは、また次回。

---------------------------------------------

チェンジリングChangeling)』
2008年作品
上映時間142分
監督:クリント・イーストウッド
脚本:J・マイケル・ストラジンスキー

コメント

このブログの人気の投稿

oasis 「Fuckin in the Bushes」という曲の重要性

約十年ぶりに『もののけ姫』を観て感じたこと

イヤホン族