FUJI ROCK FESTIVAL'15 参加レポ

念願のフジロックに初参加してきた.
今までずっとフジロックに行きかったのだが,他のフェスに比べるとアクセス面で難があるし,山の中でやるということで準備などが大変だし,そして何よりチケットが高いということもあり,とにかくハードルが高いイメージがあった.
去年は大好きなArcade Fireが来るということで,どうしても行きたかったのだが,週明けに大事なテストが控えていたし(そして1か月後には院試も控えていた),経済的にも余裕がなかったので断念せざるを得なかったというわけだ.
無事,大学院に進学し,経済的にも余裕が出てきたので,今年は念願のフジロックに行くことに決めた.
なんてったって,今年はあのHappy Mondaysが来るし,再結成したRideも来る.
そして愛すべき我らが兄貴,ノエルも来るのだから行かないわけにはいかない.
ということで2日目と3日目の2日間のチケットを購入した.
フジロックに参加する上で大事なのが持ち物である.
山の中という非日常的な環境で行われるため,天候は移ろい易く,どんな状況にでも対応できるような準備をせねばならない.
しかし,その点では,僕は山登りが趣味の1つなので,準備に困ることはなかった.
基本的には山に登るときの持ち物を持っていけば事は済んだ.
問題は宿泊をどうするかだ.
最初はテント泊をする気などさらさらなかった.
今までの人生でテント泊などロクにしたことなかったし,初めてのフジロックでテント泊は厳しいだろうと思ったからだ.
しかし宿の予約状況をあまく見ていた.
7月上旬,宿の予約を取ろうとチェックしていたら,どうだろう,どこの宿も満室なのだ...
もうこの頃には,テント泊の方向に気持ちが傾いていた.
ということで急遽テントを買うことにした.
アライテントのエアライズ2とドマドームライト2のどちらを買うかでずっと悩んでいたが,最終的にどんな環境でも使えるという点でエアライズ2に決めた.

7/24(金)
夜に研究室から帰ってきて,すぐに準備をした.
持っていきたいものと持っていくべきものを引っ張り出して来たら膨大な量になり,とてもじゃないがバッグに詰め込めないとわかり,最低限必要なものだけを持っていくことにした.
持っていった物は以下の通り.
テント/寝袋/断熱マット/ブルーシート/ヘリノックスのチェア/カメラ/ランタン/iPhone/iPhoneのモバイル電源/カッパ/防寒着/帽子/軍手/制汗スプレー/防虫スプレー/フェイシャルシート/タオル/ポケットティッシュ/ヘッドライト/クロックスのサンダル/着替え/水筒/ゴミ袋/歯ブラシ
基本的な服装は半袖・短パンに登山靴だった.
持ち物を40Lのバックパックにパンパンに詰め込んだ.
パッキング作業は大変だが,無心になって出来るので楽しくもある.
バッグに入らなかった寝袋はバイクの荷台に積んだ.
日付が変わってからバイクで出発した.
こうして僕のフジロックが幕を開けた.
初参加,初テント泊,バイクでの長距離移動(往復800km),ぼっち...と,なかなか不安要素が多いチャレンジングなフェスになることが予想されるが,それでも楽しみが上回っていたのであった.

7/25(土)
バイクで下道を9時間かけて仙台から苗場に向かった.
仙台から先ず七ヶ宿に向かうのだが,この途中蔵王の山の間を縫うように道があるのだが,これがとても怖く,長く感じた.
真夜中で頼りになる灯りといえばバイクのライトとわずかな電灯しかない.
おまけに映画『ミスト』のような濃霧で,視界が数mくらいしか効かない.
山道なので人っ子一人いないし,対向車も全く来ない.
闇の中を心を無にしてただただ走った.
七ヶ宿からは国道113号をひたすら真っ直ぐ走るとやがて新潟の関川村に着く.

丁度夜が明けた時間だった.
驚くことに新潟に入ってから苗場までの道のりがかなり長かった.
縦に長い新潟の上から下までを縦断する勢いである.

朝9時頃,湯沢健康ランドに着き,身を清めた.
外は天気も良く,暑いのに,長時間バイクに乗っていた疲労から寒気さえ感じていた.
しかし湯に入ると身体も温まり,体力が回復してきた.
湯の力は偉大である.
健康ランドからはバイクで30分ちょっとで苗場スキー場に着いた.
最後のトンネルを抜ける時,既に音楽の轟音と振動がトンネル内に響いて伝わってきて,ボルテージが一気に上がったのを覚えている.
苗場スキー場は十分山の中にあるのだが,現実逃避に来た大勢の人で溢れかえり,一種の楽園を思わせた.
日差しが強い中,リストバンド引き換えのために長蛇の列に並ばなくてはならなかった.
一組の若い男性たちが途中から僕の後ろに素知らぬ様子で割り込んできた.
不快な気分になったが,僕の後ろに並んでいた人が注意して,彼らは最後列に並び直した.
大勢の人がいるので,それなりに人の嫌な部分が目につくようになるし,浮かれているのか知らないが自分勝手な行動をする人が予想外に多く,その度に嫌な気分になった.
リストバンドを引き換えると,キャンプサイトに向かった.
入口に近い場所は既にテントが密集していて,激しい場所取り争いが行われていたであろうことが容易に想像できる.
密集した場所が嫌いなため,広いスペースを求めて結構上のほうまで登った.
キャンプサイト入口から徒歩15分くらいの場所にテントを張ることにした.
しかし,初めてのテント設営だったのと,風があったことで,思いの外時間がかかってしまった.
しかもペグを打つのにハンマーを忘れ,風でテントが吹き飛ばされないか終始不安だった.
苦戦しながらもなんとかテントを設営し終えた.

標高970mの場所で,眺めはなかなか良い.
14時頃までテントの中で仮眠をとった.
会場を一通り把握しようとぶらぶら歩くとグリーンステージに着いた.
Nate Ruessが歌っていた.
全く知らないアーティストだが,しばらく座って観ていた.
聴き覚えのある曲が流れた.
「We Are Young」である.
後から知ったが,このNate Ruessという人はFun.のヴォーカリストらしい.
続いてグリーンステージでは,星野源が歌った.
あまり聴かないが,園子温の映画『地獄でなぜ悪い』の表題曲は好きだ.
レッドマーキーに寄ると岡村靖幸がライヴをしていた.
名前はよく目にするが曲は聴いたことがなかった.
なかなか楽しく,最後まで観ていた.
お腹が減ってきたので,ケバブを頬張りながらハイネケンを注入.
気分が良くなってきた.
20時半からはレッドマーキーでHappy Mondaysのライヴを観た.
今年のフジロックの目当ての一つである.
言うまでもなく最高である.
右前に立っていた若いカップルは,よほどハピマンが好きなのか,超ノリノリ,曲が変わる度にお互いの顔を見てキャーキャー言っている.
めちゃくちゃ楽しそうである.
そうかと思えば左前のおばさんはひとりでわけわからん踊りを踊りまくっている.
完全に自分の世界に入ってしまっている.
左に立っている女性はやたらスマホで写真を撮ってはインスタで加工してアップしている.
なんだこの混沌とした空間は...
ハピマンのライヴは楽しんだ者勝ちである.
序盤は「Loose Fit」から「Kinky Afro」で一気に持って行かれた.
後半「24 Hour Party People」から「Hallelujah」の見事な流れで僕のテンションはいよいよ最高潮に達する.
「Step on」が流れたときにはヘロヘロに(勿論クスリはやっていません)
これがMadchesterか!と一夜で80年代後半にマンチェで起こったムーヴメントを体感したのであった.
この夜のレッドマーキーは完全にハシエンダと化していた.
ハピマンのライヴ後は,グリーンステージで始まりかけたMuseを横目にホワイトステージへ移動.
22時,Belle and Sebastianを観た.
何枚もアルバムを出しているが,興味を持つようになったのはここ数ヶ月のことである.
良質ポップで非常に楽しい空間だった.
1曲目の「Nobody's Empire」からベルセバワールドに引き込まれる.
大好きな「I Want the World to Stop」と「I Didn't See It Coming」では鳥肌を立たせて聴き入ってしまった.
「The Boy with the Arab Strap」では,お決まりのように大勢のファンがステージに上がり,踊りまくる.
フジロックに来て良かったと思えるほどの,平和的な光景であった.
僕が大好きな曲「Another Sunny Day」をやってくれなかったのは残念だったが,アンコールで「The Blues Are Still Blue」をやってくれたので満足だった.
ベルセバのライヴが終わると,もう体はヘトヘトだった.
レッドマーキーで明け方まで踊り狂う元気などどこにも残っていなかったので,早々とテントに戻り眠ってしまった.

7/26(日)
テントの中のあまりの蒸し暑さに,這い出るようにして起きた.
7時.
初めてのテント泊だったが,予想外にも快適に眠ることができた.
昨日は良い具合に曇っていて暑くも寒くもない丁度いい天気だったが,今日は強い日が差す快晴だった.
昨晩風呂に入らなかったので,バイクで湯沢駅前まで下り,健康ランドで風呂に入った.
思い立ったら瞬時に行動できるこの機動性の高さが,バイクでフジロックに来る最大のメリットである.
汗を流したらキャンプサイトに戻り,昼食をとった.
iPhoneを充電しようと思ったが,あることに気づいた.
iPhoneのUSBケーブルを持ってき忘れたのだ...
折角持ってきたモバイル電源も,これでは使い物にならない.
痛恨のミスである.
悲嘆していても仕方ないので,とりあえずビールを注入.
ぼっちなのでひとりで寂しく乾杯したが,そんなことはどうでもいい.
山で飲むビールはとにかくうまい.
友達連れでフジロックに来るのは賑やかで楽しいことに間違いないだろうが,一人でのんびり過ごすのもリラックスできて悪くない.
14時半からレッドマーキーでThe Bohicasのライヴを観た.
ここ最近僕が期待しているイギリスの若手バンドの一つである.
代表曲「XXX」では最高に盛り上がった.
最後にやった「Swarm」も勢いがあり印象に残っている.
The Bohicasのライヴ後は急いでグリーンステージに向かい,Johnny Marrのライヴを観た.
赤いシャツが最高にクールで,ギターを弾いてる姿に痺れた.
男が惚れる男とはまさにJohnny Marrのことだ.
The Smiths時代の曲で,僕の大好きな曲でもある「There Is A Light That Never Goes Out」をやったときは身震いをしてしまった.
こんな名曲を生で聴くことができるとは...
実は僕はJohnny Marr名義のアルバムは全く持っていないのだけど,このライヴを観てから曲のカッコよさに惹かれ,絶対買おうと決めた.
Johnny Marrの次は椎名林檎がこのステージでライヴをした.
夏らしい白い衣装に,頭に赤いリボンをつけており,可愛いらしい.
この時既にiPhone の電池残量は5%を切っていた.
これはまずいと思い,ドコモの無料充電ブースへ駆け込み,充電させてもらった.
いやはやドコモさんには感謝である.
19時からはグリーンステージ後方の小高い場所でずっと椅子に座ってライヴを観ていた.
Rideのライヴは1曲目の「Leave Them All Behind」のイントロが鳴った瞬間に昇天した.
感動で涙さえ出そうになった.
どうでもいいけど,この曲でマーク・ガードナーがギターを弾く時に膝を曲げるアクションが結構好き.
21時半からはいよいよグリーンステージのトリであるNoel Gallagher's High Flying Birds(いつも思うがなんだこのバンド名の長さとセンスのなさ...)のライヴ.
生でノエルを見るのはいつぶりだろう,かなり久しぶりな気がする.
ノエルの1stアルバムは大好きなんだけど,正直2ndはあまりしっくりこない.
今回のライヴは1stの曲をたくさんやってくれたので個人的に大満足だった.
しかもなんと「Champagne Supernova」をやってくれたのだ.
歓喜のあまり立ち上がって一緒になって歌った.
他にも「Masterplan」をやってくれたし,「スペシャルな曲をやるぜ」と言って,日本人ファンが大好きな「Whatever」もやってくれた.
日本人ファンの僕は勿論満面の笑みで大声で歌った.
oasis時代の曲にやたら反応する僕はまるであれだ,Zが付く前のも〇クロ楽曲にやたら沸くことで古参アピールをするモ〇ノフみたいだな...
そして最後はお約束の「Don't Look Back In Anger」の大合唱.
大感動だった.
音楽は魂を救うと本気で思えた瞬間だった.
ノエルのライヴが終わると,帰り支度をして,湯沢の健康ランドで汗を流してから帰途についた.
まさか2日間で3回も健康ランドを利用することになるとは思わなかった...
日焼けした腕と腿が真っ赤に染まり,湯に浸かると悲鳴をあげそうになるほど痛かったが,これも2日間楽しんだ「証拠」である.
帰りも仙台まで長い距離をバイクで走らねばならなかったが,行きの時ほどつらくは感じなかった.
翌朝9時に無事仙台に到着し,僕の初めてのフジロック体験は幕を閉じた.

今思い返しても,山全体に大音量の音楽が響き渡る様はあまりに非日常的で魅力的であった.
2日間とも好天に恵まれ,本当に楽しい思い出をつくることができたと思う.
やはり,あの特別な時空間は,実際に行って体験してみないとわからないだろう.
来年も是非行きたいと思う.

~来年以降に向けての反省点~
・一眼は殆ど使わなかった.スマホのカメラで充分.
・ペグを打つハンマーは忘れずに.
・iPhoneのUSBケーブルは忘れずに.
・食事等は会場に持ち込む必要はない.かえってゴミなどが面倒になるのでフェス飯で済ますべき.
・小さいショルダーバッグを持っていくと,キャンプサイトからライヴを観に行くときに便利.
・水筒はいらない.かえって重くなる.
・今回は荷物が多すぎて身動きを取りづらかった.荷物は必要最低限にして,機動性を重視するべき.

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